い ち ご 栽 培 用 施 設 ・ 機 材 
いちご栽培には多くの施設や機材を必要とします。大型のものから、ほんの小さな道具まで必需品がたくさんありますので、ここでは「わたなべいちご園」で導入・活用しているものをご紹介いたします。今後も順次追加する予定です。  
   
動力噴霧機 硫黄薫煙器 温風暖房機 夜冷育苗施設
自動換気装置 炭酸ガス発生機 育苗専用ハウス ジャム加工施設
畝上げ機 プラソイラ 育苗ポット土入れ機 ランナー押さえピン
電照施設 自走積込みマニアスブレッダ

自 走 積 込 み マ ニ ア ス ブ レ ッ ダ
堆肥や客土用の土を積み込み・散布できる、自走式マニアスプレッダを09年に導入しました。
導入前はトラクターの後部に取り付けたキャリアダンプを使用して、人力で積み込み・散布をしていましたが、一人での作業が可能な上、思った以上に能率的に仕事が進められ大満足です。
積載量は0.8㎥、ガソリンエンジン使用となっています。ただ、野ざらし等で水分の多い堆肥では積み込み・散布とも使用できないため注意が必要のようです。

動画を見る 積込み(2MB) 散布(2MB)
         
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夜 冷 (やれい) 育 苗 施 設
いちごは通常低温短日の気象条件で花芽を分化する性質を持っています。
促成栽培用に改良された品種は、自然条件下で通常9月下旬頃花芽分化しますが、この場合収穫期が12月下旬以降となっていまいます。そこで人工的に低温短日の条件を作り出し、その条件下で育苗することにより、より早だしをする方法が確立されており、全国的に普及しています。
この夜冷育苗施設を活用することにより、花芽分化期を自由にコントロール出来るため、「超早出し」と呼ばれる9月からの収穫を実現している方もいます。
「わたなべいちご園」では食味、品質とも安定、向上する12月初めからの収穫を目指しており、極端な早出しには取り組んでおりません。
真夏の時期、夜温が高く花芽が分化しにくいため、日長を8時間にコントロールすると同時に、冷却機を使用して夜温を12℃に下げ、強制的に花芽分化をさせます。8月中下旬ですと約20日間低温短日の条件下で育苗することにより花芽分化してきます。
写真の屋外機は200ポルト、3.8kwのもので、建物(夜冷庫・やれいこ)の大きさに合った冷却能力のものを設置します。
建物の外側は太陽光線を反射させる白色の厚めの断熱シートで覆われており、内側には厚さ40mmの断熱材が張られています。
通常午前8時から午後4時まで、苗は夜冷庫から出し屋外で太陽光線に十分当てるようにします。
トレイに入れた苗は台車に載せ、レールを利用して出し入れするようになっています。夜間は狭い空間で十分冷やせるよう台車は3段になっていて、夜冷庫に入れた時は重なって収納出来るようになっています。
私の設備は3段セットのものが6組収納でき、一時期に約20.000本の苗を夜冷育苗することが出来ます。
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自 動 換 気 装 置
いちごを順調に生育させる上でビニール被覆後の温度管理は大切な仕事で、生育ステージに合わせ、また天候の変化に対応したハウスの開閉は多くの神経と労力を費やします。
以前はすべて手作業でやっていましたが、今回すべてのハウスに「自動換気装置」を取り入れました。これにより、大幅な省力化が図れる上、適確な温度管理が可能となりました。
パイプによる巻き取りで換気する方式は従来通りですが、人力で巻き取っていたものを小さなモーターが代って巻き取ります。
各棟に取り付けられたモーターが、設定された温度になると一斉に巻き取りを始め、換気をする仕組みになっています。また、室温が低下すると自動的に閉まるのは勿論のことです。
換気装置の管理をしているコントロールボックスです。四段変温設定(24時間を自由に4分割し、それぞれ違った温度設定をする)機能があり、時間帯による自由な温度管理が出来ます。
また、別に雨センサーが付いていて、留守時の不意の雨にも自動的にハウスを閉めてくれる優れものです。


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電 照 施 設
日照時間が短くいちごの生育が停滞しがちな冬の時期に、生育停滞からの回避をねらって電球を点燈し生育促進を図っています。通常の電照方法はタイマーを使って1時間のうち15分だけ点燈45分は消灯する間欠電照(サイクル電照)を日没から朝方まで続ける方法がとられています。
電照開始時期が早いと徒長の危険性があり、遅れると効果が落ちますが、私は例年11月25日を目安に電照を開始しています。
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炭 酸 ガ ス 発 生 機
「炭酸ガス発生機」の使用は当地域では一般的になっています。
冬期の気温・地温が低く太陽光線の弱い時期は、いちごの生育にとって悪条件で生育は停滞しがちですが、プロパンガスを燃焼させ、炭酸ガスを供給し、空気中の濃度を高めることにより、炭酸同化作用を活発化させ生育停滞から回避させるようにします。大きな効果が期待出来る上、加温効果があり、良品質のいちごを収穫することが出来ます。写真の機種は燃焼部にファンが組み合わせてあり、炭酸ガスがハウスの隅まで届くように作られています。
発生機は通常日の出頃から換気前に炭酸ガス濃度を高めるような使い方をしており、タイマー内臓で自由に燃焼時間の設定が出来るようになっています。
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育 苗 ポ ッ ト 土 入 れ 機
育苗ポットに用土を入れる道具です。構造は極めてシンプルで、太い針金でマス状に仕切られたところに空のポットを並べ、その上に穴の開いた盤を置き用土を入れます。(用土は「鹿沼土」をベースに土壌改良剤等を加えたもので、排水性を重視しています。)その後トレーに並べ移動し、次の苗取り作業にかかります。写真のものは7.5cm用のもので、一回に198個のポットに土入れが出来ます。約33000個の土入れ作業が2日半位で終了するのも、この道具のお陰です。
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育 苗 専 用 ハ ウ ス
わたなべいちご園では広さ1000㎡の育苗専用ハウスでランナーを育てています。
連棟ハウスの中に幅150センチ高さ70センチのベンチがあり、プランターに植えた親苗を並べて、自動給液装置で養水分を供給しています。用土は長期間の使用に耐えるロックウール(粒状綿)を利用しています。
ランナーは7月に用土を入れた育苗ポットにピンで押さえる方法で発根させています。
ランナーを育てていたベンチは、ポットに独立させた苗の育苗用にも利用します。
苗を親苗から切り離した後、プランターはベンチ下に片付け、苗を等間隔に並べ葉かき等の管理作業を行ないます。潅水は頭上潅水装置を活用しており省力を図っています。
一連の作業が立ったままで出来るため、作業の能率が上がるうえ、体への負担が軽く満足しています。
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プ ラ ソ イ ラ 
トラクターに付けて使用するアタッチメントのひとつ「プラソイラ」は、土を起こす「プラウ」と深く溝を切る「サブソイラ」の機能を併せ持ったものです。元来耕土が浅いうえ、、基盤整備事業で大型の重機で踏み固められた土地をより深く耕すため2003年に導入しました。二本の爪が約40cmの深さまで入り、基盤や心土を破砕してくれます。排水が良くなる上、根が深くまで張れるので、「いちご」にとっては生育条件が良くなり、果実の品質向上が期待出来ます。この作業で土中の石が表面に出てくるため、石拾いが結構大変な仕事となります。

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畝 上 げ 機
ハウス内に植え付け用の高い畝(ベッドと呼ぶことも多い)を作るのに必要なのが「畝上げ機」です。一行程で30~40cmの高さの植え付け床を作っていきます。土壌条件の良し悪しに関わらず良い仕事をしてくれる作業機にはなかなか出会いないのですが、何回かの買い替えで、現在は関東農機㈱で製造販売している「うねパンチャー」を使っています。

動画を見る(6MB)

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ジ ャ ム 加 工 施 設
「わたなべいちご園」ではジャムを作るための施設を持っています。保健所の許可を得た6畳ほどの狭いものですが、2槽式の流し台、高カロリーのガスコンロ2台、調理台、手洗い用水道等を備えており、秋に「りんごジヤム」冬から春に「いちごジャム」を作っています。
傷のついたいちごや、熟し過ぎたいちごを無駄にしないためにも大切な設備となっています。
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動 力 噴 霧 機
農薬を散布するのに不可欠なのが動力噴霧機です。通常ガソリンエンジンでポンプを動かし、薬液に圧力を加えホースを経由、先端の噴霧頭を使って細かい霧状にし作物に薬液を散布します。
使用にあたっては黄色く見える薬液タンク(この中に薬液を作っておきます。)とセットとなります。
無農薬でのいちご栽培はほとんど不可能ですので害虫や病気が発生した際には活躍します。その他、葉面散布剤(栄養剤)の散布等にも使います。
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硫 黄 薫 煙 器
農薬の使用を減らすための対策として、硫黄薫煙器は欠かせないものとなっています。ハウスを締め切った時間帯(夕方以降)に硫黄を薫煙することにより「うどんこ病」の発生を抑えることができ、広く普及しています。
底の部分にヒーターが付いていて、器に入れた硫黄を下から加熱し薫煙させます。24時間タイマーとの組み合わせでヒーターを作動させています。
この器具を導入してから、「うどんこ病」の発生が極端に少なくなりました。
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ラ ン ナ ー 押 さ え ピ ン
苗取り作業の際、ランナーを用土の入ったポットに押さえる作業に用いるピンで、プラスチック製で耐用年数も長く、構造的にも使いやすく能率的な作業が出来ます。
発根後は回収しますが、この器具のお陰で以前より効率良く作業を進めています。
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温 風 暖 房 機
冬の寒さが厳しい当地方では暖房なしでのいちご栽培は難しいものがあります。
私のところでは、重油を燃料とした温風暖房機を3機使用しています。写真の暖房機は2006年に購入したもので、側面から吸入した空気を本体バーナーで暖め、上部の吹き出し口からハウス内に送り出します。この吹き出し口は360度回転するため、ダクトレスで大きなハウスの隅々まで温風を送ることが出来ます。
冬の寒がきびしかったり、昨今のように重油の価格が高いと燃料費がかさみ経費を押し上げてしまい頭痛の種です。
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