こ だ わ り  
① 特段の早出しはしない 近年のいちご栽培は品種の改良や夜冷育苗施設の普及により、10月頃からの出荷が可能となりました。当園でも夜冷育苗施設を保有していますが、夜冷育苗開始時期を通常より20日以上遅くし、気温が低下し、品質の向上、安定が期待できる11月末から12月初旬収穫始めを目標に取り組んでいます。

② 充実した苗を定植する  育苗は結構手間のかかる作業で、育苗施設の確保や、苗の運搬移動が楽なセル育苗が主流となっいます。セル育苗は用土が少なくて済むうえ、軽量で持ち運びが楽なため、高齢化した生産者にも優しいものとなっています。ただし、狭い場所で多くの苗を育てるため、潅水や施肥等でこまめ管理を必要とし、気の許せない期間となります。
私の所では従来からの9センチポットを使っての育苗です。多くの用土を必要とし、移動等でも重いのですが、充実した苗を育て、需要の多い12月から2月に収穫量がピークとなるよう努めています。


③ ビニール被覆後の潅水は少な目にする 当園の土は砂壌土で約20cmより下は石がゴロゴロしている状態で、水持ちも悪く、作物を育てる上ではあまり良い条件ではありません。本来ならこまめに追肥、潅水をし、生育を促進させるのがベストなのかもしれませんが、収穫量より品質を重視しているため、極力潅水を少なくするよう管理しています。

④ ハウス被覆材は毎年新しいものと交換する いちごは、通常10月(保温開始時期)から収穫を終えるまでは、保温資材下での栽培となります。現在は、多年張りの出来るフィルムが開発され、多くの農家に普及しています。(一度張った被覆材は剥がすことなく数年間利用し栽培します。)ただ、被覆当初は光線透過率は良いのですが、少しずつ汚れ透過率が徐々に低下するのは否めず、厳寒期の太陽光線の弱い時期には少々ツライものがあります。それでも、張り替えのためには多くの費用と労力を必要するため、多年張りが主流となっています。
我が家では真冬の弱光線を最大限ハウス内に取り込みたく、毎年秋に新しい被覆材に張り替えています。

⑤ 完熟(しっかりと着色)した実を収穫する 直売と地方発送をメインとする当園にとって、食味は何物にも代えがたい重要なポイントとなります。市場出荷される方は、スーパー等の要望に応じ、完熟ではなくその前の段階での収穫をしているようですが、我が家では、極力しっかりと着色したものを収穫するよう心がけています。

⑥ 早朝の果実の温度の低い時間帯に収穫する 完熟したいちごを収穫するには、傷みが出ないよう品温の低い時間帯に収穫する必要があります。我が家では早朝に収穫を始め、遅くとも午前9時半までには収穫作業を終えるようにしています。また、収穫したいちごはすぐに予冷庫に入れる等、品質管理に細心の注意を払っています。

⑦ 
収穫後の湛水期間を長く取る 通常収穫終了後に株を片付け、代掻きし湛水状態を保ちます。これにより土壌が還元状態となり、病原菌や害虫を駆除することができます。我が家では5月の連休で営業を終了するため、代掻きは5月中旬には終え、7月中旬までの約2か月間湛水状態を保つことが出来、土壌のリフレッシュ効果が期待されます。

                                       2021年6月