クロールピクリン錠剤 (ばら剤) によるハウス内土壌消毒
施設化されハウスではいちごの連作が余儀なくされ、土壌病中害回避のため土壌消毒は避けて通れない作業となっいます。従来使用されていた、殺菌力が強く作業性の良い臭化メチル剤が、オゾン層破壊の可能性があるためその使用が世界規模で規制され、代替の土壌消毒法が種々取り入れられています。「わたなべいちご園」では代替薬剤として2000年にクロールピクリン錠剤に切り替え今日に至っています。

クロールピクリン錠剤は1個4グラムのコイン状で、水分で溶けてしまう材質のもので被覆されています。
ガス化を防ぐため、真空状態で400個単位に袋詰めされており、使用直前に開封し容器に移します。
10アール当たりの使用量は10000粒となっています。
詳しくは南海化学工業株式会社のホームページをご覧になってください。
薬剤の散布は特別な機械を使用することなく、手作業で行ないます。
出来るだけ均一に散布するよう、最初に全体量の75%位を散布し、残りを少なめなところに補充すると、概ね均一に散布することが出来ます。
液剤と違い被覆剤によりガス化が遅いため刺激臭は殆どなく、真夏の日中でもマスクなしで作業が進められ、健康的な薬剤だと思っています。
作業機を必要とせず簡易な作業で、ガス化が遅いため空気中へのロスが少なく、おおむね満足しているのですが、コスト高が唯一難点となっています。
散布後はトラクターでの耕運で土中に混ぜ込みます。
土中に埋め込まれることにより、錠剤は水分で被覆剤が少しずつ溶け始め、ゆっくりとガス化して行きます。
耕運後はガスの空気中への放出を防ぐためポリエチレンのフィルムで畑全体を覆い、両サイドには土を盛り密閉します。
この状態で約10日間処理をすると土壌消毒の完了となり、フィルムを剥がしガスを抜いた後、堆肥その他の肥料等を施し定植に向けての作業を進めます。